日露戦争勝利100年。西の脅威に備へよ
(平成17年)

獨協大学名誉教授
中村 粲

日露戦争勝利100年の今年であるが、政府には特別な行事開催の企画はないらしい。さりとてあの乾坤一擲の大戦後の政戦略を分析研究して今後の国家防衛の参考指針とするだけの遠き慮りもないやうだ。我国に対する脅威が西より来ることは100年前も現在も変わりない。明治の指導者は露国の危険を幕末以来約30年に亙って認識し続けていたが故に、あの難局に有効に対処することが出来たと云へよう。
翻って現下日本の指導者に西の強隣の脅威に対する危機感や決意があるだろうか。西からの脅威とは云ふまでもなく共産支那と北朝鮮である。傍若無人のこの両野蛮国に対して物理的に供ふる処が我方にありやなしや。
日本に対する武力行使を公言して憚らぬ彼等に対しては、先方と同等以上の武力を備へる以外に国家防衛の途はない。経済制裁も口舌による外交努力も尽きた時、必ず武力による決着といふ最終局面を迎へるであろう。そのその最悪の事態に備へることこそ国家指導者に課せられた、また国家指導者にしか遂行できぬ使命であり責務である。
100年前、よく一大難局に対処した方達の心事を改めて思ひ起こし、西の無法者達から祖国を守る決意と容易を、指導者、国等しく整へるべき秋が来ているのである。

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