萬世一系「陛下にお決め頂くこと」
男系派と女系派が対立して内乱とならぬよう国体認識の成熟を祈るのみ
(平成18年)
元高千穂商科大学教授
名越二荒之助
我々は小学校時代から、表題の文言をよく耳にしたものだ。真面目な日本人は誰でも「教育勅語」を暗唱していたし、入隊前に派長文の「軍人勅諭」も、ほぼマスターしていた。
ところが敗戦してソ連に抑留されると、日本人はカメレオンのように変わってしまった。「国体への信念」はどこかへ捨ててしまって、作業の行き帰りには「赤旗の歌」や「インターナショナル」を軍歌演習よろしく前後段に分けて歌っていた。それに対してドイツ兵の捕虜たちは、「ナチス突撃隊歌・ホルストベッセル」や「讃美歌」を合唱する。小学校で教えられていた「教育勅語」は「空念仏」のように唱えていただけの者が殆どであった。よく言えば穏やかな自然風土に培はれた戦いを好まぬ包容融和の日本精神とも言へようか。
その中にあって、草地貞吾大佐は、将校の特権を駆使して労働を拒否し、11年間初一念を貫いた。
中田清康候補生は、軍人精神を堅持し、戦後は狂人を演技して節を曲げなかった。名越下士官は「極反動」「トロツキスト」の罵声に耐えながら、九死に一生を得て帰国した。
帰国してみると、日本国内も占領政策に迎合していた。その姿はソ連に拘留された日本人と大同小異であった。多くの日本人には、「万邦無比の国体」も「萬世一系」の持つ意味もよく判らなかったのだ。
それが証拠に、このたびの皇室典範改正問題も、男系派と女系派に分かれて争い始めた。内容は全く違ふが南北朝動乱の如きにならなければよいが、と心配でならない(ちなみに南北朝とも、男系男子が継承されている)。この内乱的様相を見た中韓両国が、戦況不利な法に応援すれば、最悪の事態となる。そうならない方法が一つだけある。
政治家やマスメディアには目先のことしか判らない。それに対して陛下は常に長期的視野に立って大局を見、本質を把握される。いはば超プロであられる。
皇室典範は皇室のことである陛下にお決めいただければ、国民すべて納得する。
これが内乱を防ぐ唯一の方法である。