御挨拶
(平成15年)

大東亜聖戦大碑護持会会長

板垣 正

大東亜聖戦大碑建立以来はや3年を迎えます。関係各位におかれては、聖戦大碑建立の大義に立って、日本国家再生のため日夜御精励賜り、誠にご苦労様に存じ上げます。衷心より敬意を表し、感謝申し上げる次第であります。

21世紀の世界は、新しい秩序を求め、大きな転機に際会していると思われますが、我国は、なお戦後体制の混迷から脱し得ず、国家存立の基本の確立に至っていないことは極めて遺憾にたえないところであります。
ただ一つ、刮目すべきことは、北朝鮮の日本国民拉致事件≠ノ対する、日本国民の民族的覚醒の事実であります。
拉致事件≠ヘ、まさに我が国の国家主権と日本国民の基本的人権に対する不当なる侵害として、北朝鮮に対し、その全容解明と全面解決の要求は、いまや不退転の国論であり、確固とした国家意思の表明であります。
まさに画期的な、日本国家再生の第一歩というべきであります。
ここに至るまで、横田夫妻をはじめとする拉致被害者家族の、実に25年に及ぶ孤立無援の、言語に絶する苦難の戦いの連続が存在したことを決して忘れてはなりません。
その積み重ねが、昨年9月17日の小泉首相の訪朝、日朝首脳会談と金正日の拉致告白、10月15日の拉致被害者5名の帰国という劇的展開に結びついたのです。
「拉致事件」に関して、日本国の政府も国会も、一部を除いて25年間、殆ど無為無策のまま放置してきた事実が明るみに出て、国民に大きな衝撃を与えましたが、このことが、民族的覚醒の起爆剤となった事は否めません。
いま、拉致被害者、その家族と幅広い支援組織が、国民的共感に支えられ、国を動かし、国際的にも活動の輪を拡大しています。
改めて、横田夫妻らの健闘を讃え、われわれ志あるものとして、他山の石となすべき事を痛感して止みません。

新国立追悼施設を阻止しよう

翻って「イラク戦争」の結果、フセイン政権が崩壊してから3ヶ月を経過しましたが、いま、戦後復興や中東和平の新段階を迎えています。一方、北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐり、東北アジアの緊張が高まりつつあり予断を許しません。
わが国は、東アジアにおける安定勢力として積極的な役割を果たすべきであると信じます。
そのために、「対米従属」「対米依存」とみなされる戦後体制からの脱皮と、わが国の本来の姿を取戻す事が急務であります。
すでに政治日程に上がりながら、遅々として進まない憲法改正問題、防衛問題、教育基本法改正問題、教科書問題等、の解決促進を強く期待します。
そして、刻下の急務として、国家存立の精神的支柱である靖國神社の、公的位置づけを明確にし、その存亡の危機に対処することを求めます。
小泉首相の靖国神社参拝は、首相就任当初、8月15日の参拝を公約しながら、ギリギリの段階で、中国、韓国の外圧に屈して、8月13日に前倒し参拝を行った事が、つまづきの始まりとなりました。
遂には、靖國神社に代わる追悼施設の建立を意図し、福田官房長官のもとに私的諮問機関として「追悼懇」を置き、昨年12月、「国立の無宗教の恒久的施設」が必要とする答申を出させました。
小堀桂一郎教授が、産経正論(4月6日)で述べて居られることが、われわれの指針となると信じて御紹介します。

「靖國神社」を差し置いての国立平和記念施設などは全く無用の長物であり、この施設新設の挙は、誰の目から見ても日本政府が近隣諸国の理不尽な要求に屈伏して自国の伝統的信仰の姿を捩(ねじ)曲げた、文化闘争での敗北と映ることが手痛い。この傷の深さは昭和61年(註)に我が国が受けたそれよりも更に深いものとなろう。
(註)昭和61年中曽根首相は、中国の外圧に屈して靖国神社参拝を中止し、その後16年間首相の靖国神社公式参拝は中絶した。

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